N°56 - 重力は愛なのか, ESSENTIAL AMOUR: SE9
前回 N°50 の続き。" Essential " ♦︎i. Gravity Is Lovely サン=テグジュペリは重力を愛だと考えた。どういうことか、 『人間の大地』 NHKテキストから3つ見ていきたい: p.49 文字通りの重力としての意味 : 彼がアフリカの砂漠に不時着したときのこと。砂の上に仰向けに寝て 「目を覚ましたとき、目に入ったのは夜空の水面だけだった。なぜなら丘の頂上で腕を左右に広げ、星々の生簀と相対して横たわっていたからだ。その深みがどれほどのものかをまだ理解できないまま、わたしは目眩に襲われた。その深みと自分のあいだには、しがみつくべき根っこも、屋根も、木の枝もない。わたしはたちまち解き放たれ、 潜水夫のように空に落ちていった。だが落ちてなどいなかった。自分がうなじからかかとまで大地に縛りつけられているのがわかった。大地に体重をゆだねていると一種の安らぎを覚えた。重力は愛のように至上のものであると思えた」 。不時着することも重力ならば、未知の世界である宇宙空間に浮遊することなく地球に留めてくれる、大地に支えられ守られているのも重力によるもの。大地を離れて空を飛ぶ飛行士だとしても一定の高さまでしか離れることはできない。『天空の城ラピュタ』でシータが 「土から離れては生きられないのよ」 と言うように、地球と私たちの間には永遠の結びつきがある。 p.56-61 精神的な重力としての意味 : 彼にとって、幼少時代を過ごしたフランスの屋敷サン=モーリス・ド・レマンの広い庭は「地上の楽園」だった。それは遊び尽くせないほど探検のしがいのある庭で、 「ぼくらは金色の庭に神々を住まわせた」 、 「ぼくらは閉ざされた文明を築いていた。そこでは一歩一歩が味わい深く、物事には他のどこでも許されないような意味があった。大人になり、他の掟のもとで生きるようになったとき、子供時代の陰影に満ちた庭、凍てつき、燃え上がるような魔法の庭のうち、一体何が残されているだろう 」 と神秘的に語っている。 「(...)私は重力によって地面に縛りつけられている。それとはまた別の重力が私を自分自身に引き戻す。(...)ああ! 家が素晴らしいのは宿らせたり暖めたりしてくれるからではない。壁を所有できるからでもない。そうではなくて、我々のう...