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Showing posts from October, 2025

N°55 - LE BATELEUR: 嫌いでも愛することはできる

「自分を嫌いながら自分を愛することはできる」 。これの意味がようやくわかった。好きと愛は別物だ。 あるとき、外から帰ってきてバリバリの髪だった。ドライヤーがこの世で最も嫌いな行動の一つだから、乾かしてる間に目が死んできて乾き切る前にやめちゃうこともある。基本的に人間の生活はスパゲッティと同じで、濡らして乾かしての繰り返しだ。つまり、王族の生活がしたい。人間生活めんどくさくて薔薇。なんかガサガサしてる髪なので、ちゃんと洗いたいなと思って浴室に行く。すると突然、「ああ、でも、私は私の髪を愛してる」と慈しみの気持ちが湧いた。自然発生的に。バリバリの髪は嫌い。ツヤツヤの髪は好き。 好き嫌いは自分が下す評価で、愛は慈しみだ 。 どんな状態であろうと、そこに慈しむ気持ちを持てば、それは愛してるってことだ。今変換してて知った。「慈しむ」は、「うつくしむ」から来ていて、「愛しむ」とも書く。慈愛とは、大切にすること。優しくすること。だから嫌いなままでいい。自分に嫌いな部分があったままでいい。バリバリの髪を無理矢理好きになることが自分を愛することではない。 欠点や傷があっても愛されるというのはこういうことだ。誰それのその欠点が嫌いだと思っても、その人を愛することはできる。苦手なこと、嫌いなこと、傷ついてること、全部克服しないといけないなんてことはない。だってそれは言ってみれば没個性化することだ。味を均一化することだ。どのフルーツも甘くしようとする意味がわからないのと同じに。 "I LOVE MY HAIR" そう思いながらいつものヘアマスクを使う。するといつもは効果がなかったのに、髪がツヤツヤになっている! そうなると、ますます髪を好きになりやすい。 もっと白い歯がいい、そう思いながらも現状の歯を磨きながら思う。 "I LOVE MY TEETH" そう思いながら磨くと、白くなっている気がする! 気のせいでしょ、浮かれてるだけでしょ、そう思われても構わない。私の中で変化を感じられたのならそれでいい。 何を使うかじゃなくて、何を思うかだ。何を思いながら使うかだ。 舌を磨きながら分かった。「この舌はいつも私に鋭い味覚を与えてくれているんだ」と。それって「ありがとう」だ。苦味や酸味は嫌いだ。だけど味がある、それを経験できるって幸せなこと。豊かなこと...

N°54 - 嫉妬は愛なのか JEALOUS TYPE

聖書では、" 主は妬む神"  であると書かれた。しかし 聖パウロは言う、" 愛は妬むことをしない"  と。 これだけ引用しておきながら今、 6年振りに 『どこまでも亀』 を読み直している。冒頭、聖パウロ書簡の『コリント人への第一の手紙』の引用がある: 「愛は寛容であり、愛は情深い。また、ねたむことをしない。愛は高ぶらない、誇らない。......そして、すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてを耐える」 p.18 「妬む神」という表現には驚かされる。しかしこれは他の神を信仰したら妬みますよということらしい。妻が他の人といちゃいちゃしたら怒るのは当然で、妻を愛するから妬むのだ。神も同じで、私たちを愛して取り戻そうとする。そういう意味において要は一途を貫けということを言っている *1 。つくづく、日本の「八百万の神」信仰とは相性が悪いと思う。 要は "焼きもち" (実は焼き餅と書く)。嫉妬のすべてを否定しているわけではないのが面白い。ケンブリッジ英英辞書によると jealousy と envy は明確に違っている: 前者は 「自分の愛する人が他の人に興味を持っているように見えることに動揺し、怒りを覚えること」 で、後者は 「他の人が持っているものを自分も持っていたらいいのにと願うこと」 *2 。自分が持っているものと、持っていないものという違いがある。なるほど分かりやすい。 よく聖書で語られるイメージがある(ちゃんと読んだことないが)、「隣人の妻を欲しがってはならない」...当たり前といえば当たり前だけど、逆に釘を刺すということは当時よくみられたことなのかもしれないなどと想像する。隣人の妻を欲しがるのは envy で、妻が他の男に興味持っていそうなとき夫が感じるのは jealousy ということだ。この宗教には「契約」という発想があるから、夫婦という契りを交わした相手を第三者が取ろうとするとか、あるいは別の人に乗り換えようというのは契約違反/不履行だという認識じゃなかろうか。一対一という考え方なのだろう。神と契約してるわけなので他の神はNOだし、この意味ではジェラっている。 英語圏のスピリチュアル界隈では、ソウル・コントラクト、魂の契約という概念をよく耳にする。ツインフレームにしたって、それは魂の契約のご...

N°53 - 嘘を失う痛み そして ユーフォリア PAIN OF LOSING A LIE

Trust Issues ,  自分を信頼することと、相手を信頼すること、この2つは繋がっている気がする。 回避型だの不安型だの愛着スタイルがどうというのも疲れた。 信じろっつったって100%は無理で、いつもいつも信じられるというのは無理だと思う。完璧をゴールとしない方がいいのではないか。100%自分や相手を信頼できなくてもいいし、相手から100%信頼されなくてもいい、という諦めの境地だ。できるときはできるし。これこそ信頼じゃないか? 信じなければいけない、と追い込むのは意味がない。過去の経験や傷から出来上がった不信のパターンを繰り返しているわけだが、そりゃその鎖を打ち砕いた方が新たな人間関係や自分との関係を良好に保てるだろうけど。癒そうと思わないことで癒される。そんな風に思ってきた。できない今を責めてないからね。 ♠︎ I don't need nobody to save me ? Labrinth - Mount Everest  (MV:  link ) の 歌詞を見ていきたい。これを理解したいと思ってたらまたしても絶好の機会が訪れた。これまた Euphoria (HBO TVドラマシリーズ) の曲で、私は観てないし観る気もないのだが、これは Manic (躁状態)を歌った曲 ではないかと囁かれている。曲の最初から肥大した自己があり、自惚れが強く出ている。エベレストを凌ぐほどの I'm on the top of the world    状態。これは bipolar (バイポーラー/双極性障害)が鬱と躁のセットのように、鬱の裏返しだ 。健康的ではない。どういうことか見ていこう。 I burn down my house and build it up again  の箇所は自己破壊的そしてまた建築する、 『塔』 のカードを思い起こすし、次に I burn it down twice just for the fun of it   は同じことを繰り返して、自ら幸せをぶち壊す感じがある。self-sabotage. すべてをリセットしたい衝動のような。すべての連絡先を消したい、すべての関係性を切りたい。白紙にしたい、自分のことを誰も知らない土地で生き直したい強い衝動。 So much m...

N°52 - XIV TEMPÉRANCE: ADAGIETTO, ELIXIR

Oct6 -  大幅な追記あり:『 節制』のカードと死後の自己肯定感 Adagietto , Gustav Mahler. Symphony No.5 in C sharp minor, 1901-02. Leorard Bernstein, 1973. Link: here The Heart Asks Pleasure First, Michael Nyman. LOUIS VUITTON, Towards A Dream Campaign. Link: here Am I manic Or just fine. Endless silly cycles.  Whyyy so immortal. I know the deal... 追記(Oct 6): Temperance (After "Death") and Regaining Self-esteem 私には定期的な死が用意されている。私がまだ未発達なところを突かれてる。マスターしたら無くなるのかはわからない。このサイクルに疲れはする。死と復活、死と復活の繰り返しで。一体なにやってんだと私だって思う。 落ちてるとき、やはり自己価値感は限りなく低くなる。そうすると豊かさを受け取れなくなる。自己価値感は英訳ですっと出てこない。 self-esteem がそれにあたると思う。 辞書によると自己肯定感と訳されていた。そしてニュアンスは: self-esteem は個人が自分自身をどのように評価しているか、つまり自己評価の感情的側面を指す。この言葉は、自己尊重や自己価値感とも関連が深く、個人の内面的な価値や能力への信頼感を表す。一緒に使われやすい単語は、 confidence 自信、 respect 尊敬、 positive 肯定的な。 同じく自己肯定感とも訳される self-worth は: self-worth は自己の価値に焦点を当てた言葉で、自分自身の存在が意味を持ち、価値があると感じる状態を指す。この表現は、自己尊重や自己評価と重なる部分があるが、より内面的な価値観に基づく自己認識に重きを置いている。一緒に使われやすい単語は、 value 価値、 dignity 尊厳、 intrinsic 内在的な。 そう、どちらも評価や信頼だ。ここが毒親育ちの難題と言っていいが、如...

N°51 - O ENTORCADO: HEY LORD YOU KNOW I'M TIRED

Trigger Warning:  私はいつも誰かに共感してきた。助けになりたいと願って。だけど、私にしてくれる人は誰だろう。私がしてもらいたかったこと。でも受け止める人なんていない。自分の儚さを思い知った。これが儚い芝居ならさっさと降りてしまいたい。終わりがないものにいつも独りで対処してきた。独りというのは耐えきれないことだとプログラムされている。独りを感じるのは法則的におかしいからだ。一つの道しか見えなくなる。脳裏にちらつくロープ。足首に巻き付いた蛇。体の重さを知るとき。大きなエネルギーを必要とするものなのか、最小のエネルギーで済むものなのか。私に分かるのはただ、それは衝動的で何かのきっかけと何かのタイミングの条件が揃ったときだということ。ただシンプルに、抗うのに疲れたときのこと。吊るし人*はその先を待っている。言葉さえも効かなくなって、音楽だけが私を受け止める。誰かが夕日を見ていたのと同じに。私に心を寄せてくれるものはそれしかなかった。定期的に訪れるヴァニタスに参加する者はなく。私は薔薇を抱える。ひっそりと身を沈ませていった。 終わりと始まりは重なり合っている。 どうしてこう、十字架を背負いながら十字架を愛することができるんだろう。イエスと逆さまになって。 一瞬で飛び散ってしまえばこんなに楽なことはないのに。 *italian: L'APPESO. portuguese: O ENTORCADO. Hey Lord, You know I'm tired Hey Lord, You know I'm tired Hey Lord, You know I'm tired of tears Hey Lord, just cut me loose Hey Lord, You know I'm fighting Hey Lord, You know I'm fighting I'm sure this world is done with me Hey Lord, You know it's true Now the tide is rollin' in I don't wanna win Let it take me, let it take me I'll be on my w...

N°50 - 運命の選択 L'AMOUREUX: YOU ARE THE ONE, SE8

サン=テグジュペリの妻コンスエロが 『星の王子さま』 の「バラ」のモデルであることは妻が認めています。ただ、その関係は複雑でした。 Consuelo Sunsìn de Sandoval は南米エルサルバドルの裕福な家に生まれ、二人はアルゼンチンで出会いました。彼女は喘息持ちで、それがバラの風邪持ちや花の儚さに引き継がれています。また、「王子」の星には小さな火山が3つありますが、コンスエロのホームタウンは3つの火山がある「火山の地」として知られていました(活火山あり)。彼女の実家からも見えます。王子の星では朝食を暖めるのに活用したり、毎日煤払いして噴火を止めていますが、地球では 「私たち人間の体があまりに小さ過ぎて」 できっこないので 「火山はいろいろと面倒ばかり起こして、私たちを困らせる」 とある(9章)。地球や火山が大きいのではなく私たち人間が小さいという表現に引っかかります。王子の星は小さいと書くのに、今回は人間のせいだと言っている。火山は怒りやケンカの象徴でしょうか。早いうちに対処すれば噴火することがないのにと言ってるようにも聞こえるし、自分たちが問題を大きく捉えている/大きくしている、或いは手に負えない問題だと諦めている風にもとれる。 コンスエロにとって結婚は3回目(2番目の夫は死別)。 wiki によれば彼女はボヘミアン・スピリットを持ったトラブルメーカー(mischief-maker)として知られていたようです。トラブルも火山のイメージと重なります。 サンテックスとの結婚生活は波乱模様。彼からしてみたら彼女はミューズであると同時に悩みの種でもあったといいます(偶然にも日本語では種!)。お互いが複数の不倫相手を持っていました。そのうちサン=テグジュペリの最も有名な不倫相手はフランス人女性の Hélène de Vogüé で、 Nelly の名でも知られています。彼はなかなかモテるのか、20代の最初の頃とはいえ、Louise de Vilmorin *0と婚約していたことも。 ♥︎ 『愛』のカード 思いついたので、タロット・カードの6番目 『恋人』 のカードと照らし合わせます。 よく知られているRWSデッキでは The Lovers と複数形なのに対し、それより古いマルセイユ版では L'Amoureux と単数形、しかも男性の恋人 The...