N°65 - HANGMAN OR HANGED MAN / LOTERÍA : タロットを思わせるゲームたち

mar23 追加. 

『ハングマン』ってゲーム知っていますか? 

お題の文字を当てるゲームで、間違えるごとに絞首刑の絵を一線ずつ描いていき、絵が完了=死刑執行されるまでに当てたら勝ち。

ボードゲームを3dプリンターでクリエイティブに製作してる人をフォローしていて、その中で突如として出てきたんですね。あらゆるボードゲームを本型にトランスフォームして、必要なパーツも全て折り畳んで収納できるシリーズ。彼はゲーム以外にもお寿司のピルケースとか生活雑貨もユニークに変えてるのでインテリアに合うかどうかは別として見ていて楽しい。世界で最も賢く3Dプリンターを使ってる男と言われてた。使いこなしてるのは間違いない笑。よく思いつくよね。アイディアを形に出来るのが素晴らしい。
link :@ForgeCoreCo
link :ブラウザゲーム(英語)

ゲームに関しては説明聞くよりやった方が早い。頻出しそうな文字を言っとけばいいのかな。
  • WAAAITTT - それwgwgでやってなかったっけ?と思って確認したら「スクラブル」(scrabble)だった(p.319)。単語で点数競うゲームだけどちょっと違う。
    • link: wikihow遊び方
    • N°63: 前回記事 ウィル・グレイソン、ウィル・グレイソン(=wgwg. 小説)
見た目からして『吊るし人』を連想するのはあまりに当然でこうしてブログの動機になりました。歴史あるゲームみたいです...というか今の時代に作られるわけないブラックなゲーム。これぐらいインパクトがあるから残ってるんだろうけど。
Hangman は、死刑執行人で、つまり「やる」側で、タロットは The Hanged Man なので「やられる」側、罪人です。

♥︎ La Lotería - ロテリアをご存知?

ここからがもっと話したかったとこです。タロットを連想させるゲームは他にもあって、(というかタロットもゲームなんだけど)、このブログの親玉会社gが提供してる無料のミニゲーム集「Google doodle」の中で一時期ハマっていた、メキシコ及びラテンアメリカで大人気の伝統あるボードゲーム、それが『ロテリア (Lotería / Loteria)』です。これ楽しいです。陽気だけどドキドキする。バグっててオンライン対戦できた試しがないけど、1人でまたは世界中のランダムなユーザーと最大5人で遊べます。内向型としては1人が気楽でいい。*1

要するに 4 x 4 のビンゴゲームで、言葉が分からなくても雰囲気で行けます。プレイヤーは 4 x 4 マスのボード (テーブル / タブラ / tabla)を持って、ラテンの巻き舌で読まれたカードがあったら近くにあるビーンズを置きます(ドラッグしなくてもカードをタップすれば自動で置かれる)。左上に勝利条件があるので、横一列や4枚コーナー、中央4つまたば外周、など指定通りに揃ったら「ロテリア!」というボタンを押します。先に揃えたもん勝ち。簡単なのでやってくうちに分かるでしょう。
link: ゲームはこちら。バナーをタップ

ガチのロテリア遊びでは、カードのタイトルを直接言うのではなく、読み上げ役が即興でそのカードの絵を仄めかすような詩やフレーズを言うようです**。ゲームの勝敗と面白さにこの読み手の手腕がかかっています。伝統的にトークンは豆が使われます。

"ロテリア" とはスペイン語で、メキシコはスペイン語圏です。英語でロッテリー lottery、宝くじや運という意味なので、運ゲーです。ロット lotto にも相当。日本ではロトという宝くじがありますが、それです。ビンゴゲームは16世紀のイタリアで誕生したと言われています。*2

この感じ、『かるた』や『百人一首』でもありますね。「かるた」はポルトガルから伝来されています。CartA はポルトガル語で、英語だと card、フラ語だと carte 。ドイツ語のカルテ karte ですね。

♠︎ タロット, ルノルマン & ロテリア の奇妙な類似点

絵柄はガチでタロットの大アルカナに酷似していて、関連が気になります。「起源は15世紀イタリアで、まずスペインに渡り、1769年にニュースペイン(現メキシコ)に伝来した」*3。別のソース**では「当初は上流階級の娯楽だった」とあるのでそこら辺も初期のタロットの流れを受け継いでますね。フー! というか大体、上様や貴族が先にばちくそ遊びますね。
  1. link (en: google,2019) グーグル解説*
  2. link (en: teresavillegas) 歴史 詳細**
  3. link (en: wiki) カードの詩を参照***
昔のカードには文字も数字もなかったといいます。**

ロテリアのよく知られたデッキは、フランス系ビジネスマンの ドン・クレメンテ・ジャック (Don Clemente Jacques) が1887年に販売し1913年に著作権を取得した「ドン・クレメンテ・ガロ / Don Clemente Galloエディションです。ドンとは mr や sir にあたる敬称でドン小西でもお馴染み。兵士の暇つぶしに配ったところから大衆に広まりました。

amazon.jp を見ても、タロットのようなデッキ(というかシート、ボード)が売られてて、ラテンな世界観が新鮮です。
  1. link **** - dreamstar社。元祖ではないものの、英語とスペイン語のバイリンガル表記、しかも詩とビーンズ絵のトークン付きなのはいい。
  2. 基本はクレメンテ・ガロが原型ですが、その他、ハリポタバージョンとかもありました

カードの内容としては......

タロットカードにはない独自のカードが見受けられます。『紳士』#4 や『淑女』#3 といったシグニフィケイターっぽいのは「プチ・ルノルマン」的だし、『木』#10 があるのにさらに細分化して二種類の木があるのも面白い。『鳥』#20 も同様。付け足しかな?
(ブリキに描かれた?)出典不明だというヴィンテージのバージョンには「鍵」の絵もありますね**。1920年頃のTabla de Loteriaには、それこそ罪人らしき「吊るし人」もいる!**
ずっとブログにするのスタンバってました (桂)。

下記に一覧を載せますが、『太陽』#46 や『月』#23 や『星』#35 は、タロットの大アルカナ・ルノルマンともシンボルが共通してます。でもこちらでは番号が離れていますね。
シンボルが一つだったり、『魚』#50 があったりするところが、ルノルマンからの影響を感じさせます。ガロという有名なデッキを作ったのもフランス人なら、ルノルマン・カードもフランス産...。*4

しかしタロットらしからぬとも言えなくて。『小さい悪魔』#2 もいるし、『死』#14 もある。中でも驚きなのは『世界』#37 の図像でしょう。(後述)

ただ、こうしたカードや遊びにありがちな洗礼をタロットと同様、受けることになったようです。1930年代にはキリスト教の教育用のデッキが登場してます。画像が荒くて分からないですが、ルノルマンにもある「十字架」のカードがありますね。**
洗礼といっても、タロットだと宗教色を問題視されるのに、ガロの絵柄は変更されてないようだし、逆に布教に利用されたようなものなのが面白いところです。

♥︎ Google 版との違い: カード一覧

ここで一旦Googleに立ち返ってみましょう。
先に言ったように、グーグルのゲームではシンプルにカードのタイトルを読まれるので単純明快。かなりのスピード感で、ガチビンゴ、ガチかるたです。

このグーグルゲームに登場するのは本物と同じ54枚。ただし番号はなし。『絵文字』、『サーチエンジン』などは独自に追加されたカードです。上記のリンクで、メキシコにゆかりのあるアーティストたちの制作秘話と全カードの画像一覧が載っています。楽しそうです*

list of google original cards
La Concha - コンチャ(メキシコの甘いパン)
El Xoloitzcuintle - メキシコ原産の毛のない犬種
El Guacamole - ワカモレ(アボカドのソース)
El Emoji - 絵文字
El Elote - とうもろこしの屋台飯エローテ
El Buscador - 検索エンジン
El Ajolote - ウーパールーパー(メキシコサンショウウオ)の幼体アホロートル

いずれもメキシコかグーグルにゆかりのあるものになってます。このメキシカン・ヘアレス・ドッグは、「ショロイツクインツレ」といいます。『ボンネット帽子』はキャップ cap に対応した gorro に名称変更。
この置き換えられた7枚以外は本家と同じです。減った7枚は: 小悪魔、勇敢な男、死、酔っ払い、小さい黒人、兵士、アパッチ族。 (#2, 12, 14, 25, 26, 34, 38) ......納得の理由でしょう。

なぜかGoogleドゥードゥルではゲーム中に『ワカモレ』と『人魚』が出ないようです。音声収録やイラストが間に合わなかったのかな。

♥︎ 本物の詳細: loteria

さて、本当のロテリアの話。実際のデッキでも枚数変わらず全54枚。番号は振られてるが、ゲームに必要ないので無視されているようだ**
ちなみに、最もポピュラーであるフレンチスートを使う日本のトランプカード(プレイングカード)は、通常52枚+ジョーカー1〜2枚だが、国と地域によってスートも枚数もまちまちらしい。市販のものにジョーカーが足されることが多いというだけであくまで基本の型は52枚だそう。タロットは全78枚(大アルカナは22枚)。プチ・ルノルマンは全36枚。1枚にシンボルが大量発生してる「グランジュ・ルノルマン」が同じ54枚なんですよね。*4

まあゲームにしたって枚数少なきゃ楽しくないし。4×4ってことはひとり1テーブル16枚か。

タロットらしき痕跡はあるのに、メキシコの文化に親しみのある独自のシンボルだらけなところが特徴的であり魅力的。なんたって、占いに転用されることなくゲームであり続けるのも面白い伝統です。タロットカードは当初「トリック・テイキング」のゲームとして遊ばれていたという歴史は何度も本で読んだことがありますが、ヨーロッパではその昔タロットみたいなカードもビンゴ(ロット)的に遊ばれていたんでしょうか。

以下にリストを挙げて、深掘ってみましょう。

List of loteria cards
1. El Gallo - The Rooster - 雄鶏
2. El Diablito - The Little Devil - 小悪魔
3. La Dama - The Lady - 淑女, 貴婦人
4. El Catrín - The Dandy -紳士
5. El Paraguas - The Umbrella - 傘
6. La Sirena - The Mermaid - 人魚
7. La Escalera - The Ladder - 梯子
8. La Botella - The Bottle - 瓶
9. El Barril - The Barrel - 樽
10. El Árbol - The Tree - 樹木
11. El Melón - The Melon - メロン
12. El Valiente - The Brave Man - 勇敢な男
13. El Gorrito - The Little Bonnet - 帽子
14. La Muerte - Death - 死
15. La Pera - The Pear - 梨
16. La Bandera - The Flag - 旗
17. El Bandolón - The Mandolin - マンドリン
18. El Violoncello - The Cello - チェロ
19. La Garza - The Heron - アオサギ
20. El Pájaro - The Bird - 鳥
21. La Mano - The Hand - 手
22. La Bota - The Boot - 長靴
23. La Luna - The Moon - 月
24. El Cotorro - The Parrot - オウム
25. El Borracho - The Drunkard - 酔っ払い
26. El Negrito - The Little Black Man - 小黒人
27. El Corazón - The Heart - 心臓/心
28. La Sandia - The Watermelon - スイカ
29. El Tambor - The Drum - ドラム
30. El Camarón - The Shrimp - 海老
31. Las Jaras - The Arrows - 矢
32. El Músico - The Musician - 演奏家
33. La Araña - The Spider - 蜘蛛
34. El Soldado - The Soldier - 兵士
35. La Estrella - The Star 星
36. El Cazo - The Saucepan - 片手鍋
37. El Mundo - The World - 世界
38. El Apache - The Apache - アパッチ族
39. El Nopal - The Cactus - サボテン
40. El Alacrán - The Scorpion - 蠍
41. La Rosa - The Rose - 薔薇
42. La Calavera - The Skull - 骸骨
43. La Campana - The Bell - 鐘
44. El Cantarito - The Jug - 水差し
45. El Venado - The Deer - 鹿
46. El Sol - The Sun - 太陽
47. La Corona - The Crown - 王冠
48. La Chalupa - The Canoe - カヌー
49. El Pino - The Pine Tree - 松の木
50. El Pescado - The Fish - 魚
51. La Palma - The Palm Tree - ヤシの木/棕櫚
52. La Maceta - The Flowerpot - 花瓶
53. El Arpa - The Harp - ハープ
54. La Rana - The Frog - カエル

♥︎ ナンバー比較や所感を書いてみます

  • #1 - 詩***で「聖ペテロに歌う」と触れてるから、3度否認しちゃったあれだね。黒歴史だね。もう心入れ替えたから「二度と鳴かない」。朝を告げるニワトリは1番としては相応しい。そうした意味でルノルマンの1番に来る「騎手」のニュースや知らせという配置に通ずるのかもしれない。占いではないけれど、やるとしたら目覚め、気づき、良心といったところか。
    • 朝、昼、夜という順番にはならなかったけど、他に『太陽』『月』がある。
  • #2 - 何故デビルは小さいのか。子鬼的な。何かを指しているのかな。aiによれば悪というよりいたずらのニュアンスらしい。あくまで陽気ってことだね。タロットはその点説教くさいといえばくさい
  • #3 - 淑女。そこまで考えてなさそうだけど地味に女が先になってる。ルノルマンでは #L29
  • #4 - "ダンディ" ってとこに引っかかるけど、それは正しかった。ルノルマンだと #l28。なぜ Caballero (紳士) じゃないのか。スペインの紳士という意味で植民地にされていた過去が蘇るから? と思ったがそうではない。(ちなみにこの語は、同様にスペインから植民地支配を受けていたアメリカ南西部だとルノルマンの1番のように「騎手」を指す単語になるという)。

♥︎ el catrín (ダンディな男) が "紳士" じゃない理由

ここで登場するのが、ホセ・グアダルーペ・ポサダ (José Guadalupe Posada) というメキシコの画家だ。彼は、「生前にどれだけ富や権力を得ても、死後の世界では無意味だ」というメッセージを込めて骸骨の絵を用いて社会風刺をしていた。これは西洋の「メメント・モリ (Memento mori/死を想え)」とも少し似ている。彼は「どんなに着飾っても死ねば皆骸骨」という意味を込めて、上流階級風に着飾る庶民階級女性にあてた風刺画、「ラ・カラベラ・ガルバンセラ (La Calavera Garbancera)」を描いた。これが後にメキシコの有名な「死者の日 (Día de los Muertos, 11/1-11/2に行われる)」の祭りで人気の仮装である「ラ・カトリーナ (La Catrina)」の原型となる。catrín が男性名詞、catrina が女性名詞だ。 

こうした風刺は、時の大統領ポルフィリオ・ディアス (porfirio díaz) の政治下であったことも関係する。メキシコを西洋化、富裕層を優遇する政策で、農民や庶民階級は圧迫する一方だった。そうした中、この絵は、メキシコ文化を捨て西洋美学を取り入れようとした上流階級の女性のことも揶揄したとみられている。「死の前では金持ちも貧乏人も同じ」という「死の平等」、そして皮肉なのだ。だからこそ、このカードはレディーに対するジェントルマンではなく、気取った男という皮肉めいた背景を含んでいるのではないか。

ディズニーピクサーのアニメーション映画『リメンバー・ミー (原題 Coco)』は死者の日の祭りそして家族の絆を描いた傑作である。生前の自分を知る生存者が1人もいなくなったら死後の世界からも消える―― その "第2の死" というのは月夜見さんの発言とも一致する (ただし、映画では恐ろしく悲しいこととして描かれているが、より抽象度の上がった大きなものの一部になっていくのは自然だし全く悲しいことではない)し、単純に面白くて泣けるのでオススメだ *6。この中で、主人公ミゲルのひいひいおばあちゃんにして親族全体を執り仕切るママ・イメルダ(mamá imelda)の貴婦人な格好はこの「カトリーナ」のオマージュだろうし、作品の内容も、富と名声を得たスターとボロボロの服を着たキャラクターとが主軸なので沿っている。

カトリーナの格好は現実世界でも親しまれていて、死者の日にその格好をする人も珍しくない。まあしてみたいよね。皮肉なことに。

実は、ピクサーは映画制作にあたって、当初この「Día de los Muertos」(死者の日) を商標登録しようとしていた。が、メキシコ系アメリカ人から「文化の盗用」だとの強い反発を受け、取りやめた経緯がある。最終的に原題となった Coco はミゲルの100歳近いひいおばあちゃんの愛称(mamá coco)からで、邦題の「Remember Meは作中の歌であり肝。日本語版の歌の方が泣けるよ。作品自体は本当にいいし何度観ても泣ける。一緒に泣こうよ!

- Las posadas
  • ついでに発見しちゃったので発表すると、"ポサダ" は風刺画家の名字でもあったけど、メキシコのキリスト教の伝統行事名でもあるという。それが「ラス・ポサダス」で、クリスマスまでの12/16-12/24の9日間をお祝いするもの。元々の土壌として、アステカ文明では、12月ごろに、約20日間にわたる冬至祭――太陽神「Huitzilopochtli」(ウィツィロポチトリ) を祝う祭り、Panquetzaliztli」(パンケツァリストリ)――があったらしい*。一方カトリックには、古代キリスト教の9日間の祈りの儀式「ノベナ(Novena)」がある。これは9を意味するラテン語「novem」が由来**。聖母マリアがイエスを身籠った9ヶ月***をも表す。ノベナには3つのタイプがあって、願い事のために祈るノベナ (petition novena)と、追悼のノベナ (mourning novena)、大きな祝日の準備のためのノベナがあり、この最後の「準備のノベナ」(Preparatory Novena)がメキシコに布教する際に伝わり、土着の信仰をクリスチャナイズしたのだろうと考えられている。くす玉みたいな星型のピニャータを自宅の庭で割る光景は動画で見たことあるよね。それもポサダの一環だった。ポサダはイエスが生まれる前のマリアとヨセフが宿探しをするくだりを再現するのだけど、私のゲーム脳にはドラクエのことしか浮かばなかったぜ。
    • * この時期の祭りが、ユール(北欧のクリスマス)の記事を思い出させる。N°58
    • ** 西洋占星術のマイナーアスペクト「ノバイル/novile」もそれでしょう。360÷9=40で40°のアスペクトのことだが、結構注目されている。
    • *** 日本では十月十日と言って10ヶ月と言われることが多いがこれは旧暦の数え方ゆえで、現代医学だと約40週(約280日)なので9ヶ月が正しいとされる。しつこいようだけど、wgwgのマジで最後に出てくるゲイの神は、原文だと「He's what would happen after nine months if Abercrombie f***ed Finch」、日本語だと「ファッションブランドから産み出されたような男」。(p.389)

残りのカードに戻ろう。
  • #5 - 傘はなんてことないシンボルだけど、晴れの日も雨の日も差すことを考えると、ルノルマンの「雲」と「太陽」なんかを組み合わせて考えたときに面白いなと。『木』も遮るけど
  • #6 -マーメイドがあるのもかわいい。原語はギリシャ神話に出てくるサイレン/セイレン siren に通じる sirena。スペイン語では同じ単語。人魚といえば誘惑。人と人以外とのハイブリッドとして考えてもいいよ(やりすぎ都市伝説の見すぎ)
  • #7 - 天国へのハシゴなのか? 旧約聖書に登場するヤコブが夢見た天国への階段(Jacob's ladder)。しかし天国も黄泉の国/地獄もカードとしては存在しない。単なる日常使いのハシゴのようなシンプルなイラストである。とっとこ黙って「のぼちゅ」するのだ、こうしくん。
  • #8 - 瓶を「酔っ払いの道具」として歌われてるところを見ると、『酔っ払った男』#25との関連が見れて楽しい。続く #9の『樽』も酒関連。容れ物はまだ出てくるけど多すぎ (後述)
  • #10 - 木は細分化されている。→『松の木』#49、『ヤシの木』#51。ルノルマンで「木」は#l5
  • #13 - ボンネットという女性・赤ちゃん用の昔ながらの飾り帽子
  • #14 - タロットの「死神」のカードは不吉な13番。数字の意味をほぼ持たないロテリアでは14番。スペイン語で死は女性名詞。死者の日並びにロテリアとはなんら関係はないが、話したいので話すと、メキシコにはサンタ・ムエルテ」(Santa Muerte) という女性で表された死の象徴、擬人化がある。地球や鎌を持っている。これは幅広い願い事・現世利益の民間信仰で、クレイジージャーニーでもメキシコのお隣グアテマラの現地取材で取り上げてたが、そこではブラックマジック(黒魔術)だった。呪いや他人への攻撃を目的とし、ギャングからの信仰もあつすぎるぐらいあつい。一方、ハッピー系として紹介されたものでは「サン・シモン」(San Simón)*7 という男性像の民間信仰がある。こちらはマヤ信仰とカトリックの融合で、ホームレスや売春婦といった社会的弱者の守護神でもあり、無病息災、商売繁盛、恋愛成就、何でもokの明るい系だそう。この2つとも、等価交換として動物――ギャングだと誘拐した人の命――を捧げるんだとか。ただし、chat gptによるとこのどちらも両儀的で、善にも悪にも力を貸すという情報もあるので(もう録画消しちゃって覚えてないし)その辺留意されたし。......こちらのカードでは性別は読み取れない。信仰と単純に死という概念とを区別して扱いたいんだろう。ちなみに『骸骨』#42 も別にある。
    • ルノルマンに死やスカルは無いが、棺桶と鎌はある。(#L8, L10)
    • デスノートのリュークだと思えば怖さ半減? メキシコの明るい死生観が好き。死を受け入れてる感じがする。死は罰でも断絶でもない、循環である。単なる移行なのだ諸君よ。
  • #20 - 鳥も細分化されている。→『アオサギ』#19、『オウム』 #24。ルノルマンで鳥たちは #l12
  • #21 - 詩では「犯罪者の手」になってる。手形? 何故に? ちょっとミステリアスですね。グーグルでは流石にピースの絵✌🏾
  • #23 - 月は「恋人たちの街灯」だって! ロマンチック💕
  • #25 - 現代的なデッキ**** では、『酔っ払い』は『the fool / フール / 愚者』にされていました!!! このデッキは他にも勇敢な男が勇敢な人に変えられるといったジェンダーニュートラルな表現に変更されています(dreamstar社)。
  • #26 - 黒人の男性のカードがあるのは興味深いことですが、調べてもよく分からなかった箇所です。詩の「砂糖を食べる者」ってどういう意味だろう? 本来ネグリトとは東南アジアの小柄な黒または暗褐色肌の民族グループを指しますが、このカードにおいてはアフリカ系黒人を指すらしいのです(AIによると)。ロテリアにはあらゆる社会階級、典型的な人物を象徴として描いた人物カードが多くあります。彼らは奴隷または社会的には下層に置かれやすかった存在でしょう。現代的なデッキでは、the dancer に変えられています****
  • #27 - ハートがリアルな心臓の方。ルノルマンだと #L24
  • #31 - ここへ来て唯一の複数形。昔の小アルカナっぽい。「インディアンのアダムの矢」??? 誰? 太郎みたいなこと? 深い意味はないかも。キューピッドとかいません。
  • #34 - ガロのデッキ並びにロテリアというゲームは、兵士の暇つぶし用に提供されたことから大衆に広まったとされます。このエピめっちゃ商人。まいどくんでなきゃ見逃しちゃうね
  • #35 - 星はタロットでは #t17、ルノルマンだと #l16。タロットでは単数形が主だけど、「オズワルド・ヴィルド (oswald wirth)のタロット」(1887) では、les etoiles と複数形になってる。しかもバラと蝶に変更され、「アモールとプシュケ」を匂わせる*。おもしろいね。ルノルマンは私の持ってるのは単数形。*参考: link
    • どこの星とか特定するのは『星の王子さま』同様、野暮ってものかな。星々でも夜空でも星座でもない。全てのカードに言えることだが単に星という象徴だろう。
  • #37 - 世界の図像が激アツ。ガチでエグいぞ。タロットでは #t21

♥︎ el mundo (世界) の図像が伝統的

さて、タロット大アルカナの「ワールド (世界)」#t21 には地球を持ち上げてる伝統的な図像がありますが、驚くべきことに、実はロテリアにも引き継がれています。それをグーグル版『El Mundo』#37 では、メキシコの有名なレスラーが持ち上げてる図にしたとのこと。ユーモアがあってよろしい。実は、通常のガロ・ロテリアでも然程変わりありません。パンツ一丁のムキムキマッチョが依然として地球儀を持ち上げています。地球儀かもしれません。というのは、ガロもグーグルもその地球は実に現実的で、方眼線が描かれているから。ロマンチックにしてないんですね。
15世紀の現存する最古のタロットデッキ、「ヴィスコンティ=スフォルツァ (ピアポント・モルガン・ベルガモ)版では、地球を持ち上げてるのは2人のムキムキな天使でした。ギップルみたい。初代プリキュアのポーズでありそう。知らんけど。元はと言えば、ギリシャ神話に出てくる巨人神アトラスが地球を背負う運命を任されて踏ん張っています。(松尾なら パァワハラ だと思うんだよね〜 / 嫌なことは全部背負い投げー って言うところ)。共通するのはガチムチというところ。*5
  • #40 - 蠍座じゃなくて蠍。ブツの方。出そうだよね普通に
  • #41 - メキシコの国花はダリアですがね。ローズがかわいいので普通に。木は複数あっても花はこれだけ。
    • フランスの国花でもない。4つある内の1つがヒナゲシだが『星の王子さま』でしわくちゃで嫌とこき下ろされた花だ。
  • #42 - 古来より骸骨に馴染みがある地域性? どんだけ好きなん? 他の国なら『死』#14 のカードと別に作らないよね。
  • #44 - 水差しも水瓶座の神話を勝手に想像するけど全く関係なさそう。つーかガチャガチャのポーチ並に壺系多い。どうもメキシコには、家族何世代にも渡って同じ職業を受け継いでいくことがあって、リメンバーミーのような靴職人、陶器、織物、パンが多いらしいんだ。
  • #46 - 定番のテーマだし欠かせないか。太陽は貧しい者にも平等に降り注ぐ。その点では死と同じ。タロットの #t19、ルノルマンの #l31
  • #50 - 魚! これは細分化せんのかい! ルノルマンの #l34。人魚もいれば魚もいるのは面白いかな。バチボコ忘れてたけど魚は古代キリスト教のシンボル「人間をとる漁師」 (意味深) に俺はなる! ――そうかルフィはちゃんと断言形でアファメーションしてんな。なりたいじゃなくて。
  • #53 - ハープが全部天上の音楽ってわけじゃないからな。演奏家(#32)もいるが、楽器は多い。マンドリン、チェロ、ドラム(#17, 18, 29)。西洋美術でハープは旧約聖書のダビデ王のアトリビュートだけどそんなこと言い出したらキリないし関係ないだろうな(アポロンは竪琴といってもリラと月桂樹の冠)。ダビデも古代の人物だから正確にはリラ系(聖書によるとキンノール kinnor)らしいけど、美術的にハープっぽく描かれたりするとか(ai調べ)

まとめると......

♣︎ ルノルマンと共通するシンボルは、9つ:
淑女、紳士、木、鳥、月、ハート、星、太陽、魚。
♣︎ タロットと共通するのは、3つ
悪魔、死、世界。
♣︎ ルノルマン、タロットとも共通するのは、3つ:
月、星、太陽。

大抵は、太陽・月は纏めるのが筋っていうか二元性として収まりがいい感じがするけど、ロテリアのシンボルにはおおよそ深い意味は与えられてなくて、紳士淑女はとりあえず並んどいたけどって感じがします。番号すなわち順序も便宜上なものでゲームには意味ないですからね。ロテリアの詩には教訓めいたとこもなくはないけど、日常に根ざしたアイテムが多いからか深刻さはないね。

宗教色がない?

『小さい悪魔』は前に言ったようにその意図がなさそうです。対抗する善や天使もありませんし。でっかくないからやっつけられそうだし。もし宗教上や道徳的な意味を乗せたいならフルサイズにすると思います。また、鶏や梯子も鐘も魚もキリスト教を連想させるというだけでこじつけといえばこじつけです。(カードを説明するときにキリスト教文化圏だから分かりやすく詩で言ってるだけの可能性。なんでデッキの名前にもなった象徴なのかも知らん)。宗教や宗教的道徳から切り離されたといっていい。

ルノルマンには、それこそガッツリ「十字架」があるし、「蛇」も数えられるかな。タロットなら、「女教皇/女司祭」「教皇/法王」「悪魔」「塔/神の家」「審判」「世界」がある。オカルティストが作った RWS では直接的に「恋人」はエデンにいるアダムとイブだし天使もいる。より古いマルセイユ版ではキューピッドなので神話的。「運命の輪」の図像も同様。ある種そういうのに走りがちとも取れる。

「節制」は後付けで天使の翼が生えたにしても、こうした伝統的な徳や教訓ものが多いのに比べると、ロテリアに『死』や『骸骨』はあれど、そんなにうるさくないっていうか。ビジネスマンであるクレメンテによって敢えてゲーム以上に発展しないように作られた可能性が高い。プラス、宗教組織に目をつけられないように(つけられたけど)という感じがする。ただの魚ですしお寿司とか言って上手く逃げることができるように。

死生観がそもそも正統のキリスト教とは違うのでね。ヨーロッパやアメリカでは不可能だったことを、このメキシコという土壌が可能にした気がしますね。ガロのカードはメキシコ色一色で実に陽気、昔のデッキにあった仄暗さを吹き飛ばしています。彼はやり手なんでしょう。

ところで、単数系が多い。日本語は数を気にしないことが多いけど外国の言葉はそこんとこ煩い。『鳥』#20、『長靴』#22、『手』#21 とか。象徴なんだからまぁ、そうなのかって思うこともできるけど、特に長靴なんてのは複数形にしそうなものだ。というか、『矢』だけが複数形という事実。もしかして、音やリズムを気にしてるとか?ってよぎったけどどうでしょうか。それもありそうな気がしません? 事実、ロテリアで唄われる詩はスペイン語で同音異義語とかダジャレもあるのです。『梨』『片手鍋』『世界』『鹿』がその例ですが、声に出されることが前提にあるというのは確かです*** 音楽を愛する国のようですし。
ちなみに、私の持ってるフランス語の詩がついたルノルマン「le Petit Lenormand」は、「鳥」Oiseaux #L12 が複数形なのが示されてます。「鼠」Souris #l36 は仏語では判別つかないけど英語だと Mice に訳されてるんでそうだと思います。でもデッキによって異なるっぽい(ai調べ)。

いかがですか? 読むの疲れたと思いますけれど。幼少の頃訳も分からず遊戯王カードを一心不乱に集めてたことを思い起こすと、カード全般に興味持ってるのかもしれませんね。全然遊戯王に興味もなかったのに欲しかったっていうのは私の人生史でも指折りの謎です。さて、どれぐらい認知度があるんだろう。Googleはいつもエイプリルフールかハロウィンにゲームが表示されるんですが、それで探したとき偶然見つけて、ロテリアを初めて知ったときは弾け飛びました。モチロン。

♥︎ メキシコという魅惑

メキシコは結構興味深い国だと思ってます。クレジャを観ると怖くて行けないけど、墓が家ぐらい豪華だったりカラフルだったり。メキシコの宝くじは恐ろしくて、1等が大物マフィアの家だったりして。凄いよね。ピラミッドとしてはエジプトの方が美しいけどマヤ文明も不思議な魅力はあるし、マヤ占いも一時期調べた。それから、メキシコの山には自然のマリファナが自生していて、それが高山病に効くんだってことも知ってる。自然は必要なものを用意しているんだと思いました。それを人間がどう扱うかでああなってるわけで。だから本来、大麻に良い悪いはないんだというね。(推進派ってわけじゃないです別にこれといって気にしてない)

「ミラグロ (Milagro)」はマジで心惹かれます。木製のやつがいいな。このゴテゴテ感がギャルいのかも。マリアのカラフルなキャンドルとか、イエスキリスト・ネイルシールとか心の中の何かが爆発してときめく。「イケメン神父カレンダー」にも似たユーモアさと、アートとして捉える感覚が恐らくあって、なんかいいんだよね。普通にロザリオって良くね?っていう。外国の神聖なものって何故か惹かれる。(これはもう魚座だからというだけで納得させてる)。タイの寺院(ワット/wat)も派手で独特なカラフルさだよね。これも一時期ハマった。今は知らんけど、きゃりー時代の原宿は特にメキシコ・カトリック文化が流行ってたというか親和性があって、当時宗教アレルギーだったにも関わらず木製のイコン・ブレスレットだけは気に入って毎日着けてたし、今でもそういうパーツが大好き。(もうピンクのそれ売ってないんだよね。汗ばんで確かポイっちょしたけど、なんか流行ったよねセレブの間で)。今もパーツ屋があったらヒュルリラ🍃と赴いてしまう。ときめきが止まらないんだよね。

♥︎ 終わりに

南米におけるタロットの変遷がハイパー気になります。スペインがキーですかね? タロットカードは、その1枚1枚が、ある時期から、西洋占星術で使う黄道12星座(サイン)と10天体に紐付けられていますが、アンソニー・ルイス著の『タロット 基本のリーディング大全』(島津公美さん訳) によると、南米で使われている大アルカナとサイン・天体の対応は我々が慣れ親しんでいるメジャーな対応とは異なるようです。例えば、「吊るされた男」は海王星ではなく魚座だといいます。(p.363)

♥︎


  1. *1 - ❶ラティンクス(Latinx) って言うんですね。ラティーノ(latino) や ラティーナ(latina) よりジェンダーニュートラルで、ノンバイナリーな表現。さすがグーグルだ...。❷メキシカン・カルチャーの誇りだそうです。歴史あるのに古臭くないし、何よりハッピーなバイブスがいかにも彼らの人生に対する態度を表してていいですね。治安はバチボコ悪いかもしれないし、楽観的な態度である人の方が生き残れた結果、楽観的な性格が遺伝子として引き継がれているのかもしれないけど。❸私のyoutube、適当につけた @Clementine4444 だからちょいおもろ。
  2. *2 - ❶日本語だとちっちゃい「っ」とか伸ばし音飛ばしたくなるのなんなんだろうね。各言語の英語読みと同じ現象といえばそうだけど。❷ロト違いだけど『ドラクエ1』に移行した。ラダトームで「ゆうべはおたのしみでしたね」イベができた。やけにベッドのクオリティ違うなと思ってたけどダブルベッドというのはそういう意味があったんだ...
  3. *3 - 厳密にはこのとき new spain 国。メキシコはスペイン領だったが1821年に独立。
  4. *4 - 「グランド・ルノルマン」なる54枚のバージョンも存在するが、シンボルが複数あって複雑。グランジュとも。日本では極めてマイナーとされる。これも気になる。grand jeu lenormand. grand jeu de mlle lenormand.
  5. *5 - visconti-Sforza ファミリーの、❶ブレラ・ブランビラ(brera brambilla)の「world」は消失。❷キャリー・イエール(cary-yale)は図像が異なり、持つのではなく世界の上にもくもくっと現れて鎮座してる。wiki (jp)が優秀な比較表を持っている! 神! ❸玉乗りみたいに地球に乗る図像も古くはあります。17世紀ボロネーゼのタロットがそれ(tarocco bolognese della torre)。参考: link ❹ギップルは「魔法陣グルグル」に出てくる風の精霊。ふんどし。空気だけにクサいセリフが苦手。
  6. *6 - 死者は、自分の生前を知る者に存在を忘れられると第二の死 =「死者の国からも消え去る」を迎えるという設定。祭壇(オフレンダ/ofrenda)いいよね、日本の仏式こわい。基本 志茂田景樹先輩ぐらいカラフルにしてもらえるかなマジで。霊能者 月夜見さんはこの映画を観てないが同じことを言っていた。ネガティブなわけでもなく、いずれそうなっていくし、悲しくて痛ましい死というより、個人という枠を超えたより抽象度の高い魂へと昇華していくということなので映画のように恐れることはない。
  7. *7 - グアテマラもスペイン語圏だ。saint の男性形は Santo だが San と略されることもある。
  8. これ書いてたら、はやとも出演の最近の動画を教えてもらって。メキシコの話なんですよ。たっくーtvという人のチャンネルでのコラボ動画で、サムネで煽られているような怖い話ではなかったです(link)。私は心霊動画視聴しませんので。脳科学者 中野信子さんとメキシコで体験した興味深いスピセラピーみたいな話と業界の裏話、頭いい人の注意点、束縛リアル怖いね危ないねみたいな話でした。はやともとMiyoshiさんという霊能者の方が作った新しいチャンネルで中野さんらがゲストで出演しています。私の好きなアンジェもいる。@splabo2026


Anthony Louis





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